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Dev Diary:Global Power Rankings 発表 - データで進化するLoL Esportsファンダム

LoL Esportsプロダクトチームがお届けするGPRを深掘り

集え、数学マニアたちよ!先週のAWSとのパートナーシップに関する発表をご覧になった方もいらっしゃるでしょうか。Worlds 2024開幕まであと48時間というこのタイミングで、LoL Esportsの世界にGlobal Power Rankingsが登場します。LoL Esportsの世界大会に対する皆さんの興味関心を、これまで以上にレベルアップさせてくれるであろう新たなフロンティア。新天地への旅立ちの前に、LoL EsportsのGlobal Power Rankingsの仕組みをじっくりとご覧いただきましょう。

新たなシステムの必要性

Power Rankingsの開発と活用は、従来のスポーツでは当たり前のことでした。ですが、NCAAのAP Top 25やFIFA世界ランキングのようなランキングシステムは、それぞれの分野では効果的でもeスポーツに応用するには不向きです。頻繁に移り変わるメタ、地域ごとに異なるリーグ構造、多種多様なプレイスタイル…本質的にダイナミックなリーグ・オブ・レジェンドには、より微妙なニュアンスを考慮に入れたアプローチが必要でした。Global Power Rankingsでは「個々のチームのパフォーマンス指標」と「地域の強さを示す指標」をかけ合わせることで、そうした課題を乗り越え、包括的かつ柔軟なシステムを作り上げました

主な特徴:ELOを判断基準とするパワースコアの公式

Global Power Rankingsの中核にあるのは、リーグ・オブ・レジェンドのプロシーン特有のダイナミクスに適応させた、ELOを土台とするシステムです。具体的には、地域間の強さの違いを数値化する方法が必要でした。これは試合の大半は地域内で行われるためです。そこで私たちは、個々のチームごとのELOとリーグごとのELOを組み合わせたシステムを開発するのがベストなアプローチだと判断しました。そのための加重平均を「パワースコア」の公式と呼んでいます。公式の内容は以下のとおりです。

「x」と「y」は、それぞれチームELOとリーグELOに割り当てられた重みを表わします。全地域から集められたLoL Esportsのエキスパートたちとともに徹底的にテストした結果、重みを80/20とすることで最適なバランスが実現され、予測精度が65%に達することがわかりました。これはモデルの予測結果が実際の結果とほぼ一致していることを意味しており、システムの堅牢性を証明すると同時に、eスポーツの比較的予測しづらい性質を裏付けています。

ELOの計算:詳細な内容

チームELOは以下の公式で計算します。

公式の説明:

  • 「Pbefore」​は、対戦前のチームのELOとします。

  • 「I」は対戦の重要度であり、試合のステークス(以下のK因子の項目で解説)に応じて変動します。

  • 「W」は対戦結果を表わします(勝利なら1、敗北なら0)。

  • 「We」は予測された結果であり、以下のように計算します。

ここで「dr」は2チーム間のレーティングの差とします。この公式により、対戦の予測難易度と釣り合いのとれたELO調整が可能になります。

リーグELOも似たような構造ですが、こちらは地域のレベルに基づいて計算されます。国際的イベント(例:MSI、Worlds)でのパフォーマンスはリーグELOに大きな影響を与え、より強い地域に対して勝利することでリーグ全体のレーティングが上昇します。この手法を取ることで地域ごとのパワーダイナミクスを捉え、ランキングに反映させることができます。

ハイステークスな対戦の強調

すべての対戦が同等の重みを有するわけではありません。試合の重要度に基づいて対戦結果に重み付けをするために、K因子を導入しました。K因子はこのモデルの機能にとって不可欠な存在で、新しい試合結果に応じてチームのレーティングがどれだけ急速に変化するかを決定します。標準K因子の値は以下のとおりです。

  • 地域でのプレイ:

    • プレイイン:8

    • メインステージ:16

    • プレイオフ:20

  • 世界でのプレイ:

    • プレイイン:12

    • メインステージ:20

    • プレイオフ:36

これらのK因子を活用することで、プレイオフや国際大会などの重要な試合がランキングに及ぼす影響が大きくなります。このアプローチは、重圧のかかる環境でのチームのパフォーマンスを正確に反映する上でも重要です。最後に、国際的なイベントにおける各地域のチームの平均最終順位に基づいて、K因子を地域ごとに調整しました。これにより、パワーの高い地域リーグでのプレイをさらに強調しています。このアプローチは、モデルがさらにデータを取り込み、リーグ構造が2025シーズンに向けて調整される中で、引き続き改良を重ねていきます。

評価期間:現在と過去のパフォーマンスのバランス

現在と過去のパフォーマンスのバランスをとるために、評価期間は複数年としました。

  • リーグELOは3年間(2022~2024年)のパフォーマンスで計算されます

  • チームELOは2年間(2023~2024年)のパフォーマンスで計算されます

このアプローチを行うことで、小規模な地域にとって特に重要な国際試合のサンプルサイズを増加させながら、チームメンバーの変更による潜在的な影響も考慮に入れることができます。

課題と解決策:堅牢なモデルを作る

開発過程ではいくつかの課題が浮き彫りになりました。地域ごとのスキル差をどのように数値化するか、メタの変動に左右されない形でゲーム内の統計を取り込むにはどうすればいいか、などなど…。そうした課題に取り組むために、AWSと協同でハッカソンを開催し、参加者の皆さんに様々なAI/MLモデルを模索してもらいました。LoL Esportsのファンたちによって開発された高度なモデルは素晴らしく練り上げられたものでしたが、メタ変動への頑強性と解釈可能性を確保するため、最初の試みではよりシンプルで透明性の高いアプローチを採用することにしました。

技術的統合:AWSによるスケーラビリティとパフォーマンス

Global Power Rankingsは、AWSのサービスを活用した堅牢なテクニカルアーキテクチャを土台としています。モデルのトレーニングデータの保存にはS3を、モデルアップデートのためにはLambda functionsを、ランキング結果の保存にはAWS RDSのMySQLデータベースを使用しています。この提携により、アルゴリズムに必要な複雑なデータ処理やリアルタイムでのアップデートをシンプルかつ容易に行えるようになりました。おかげでランキングは正確なだけでなく、拡張性のあるものとなりました。国際試合から得られる大量のデータ入力にも対応し、随時アップデートを提供することができます。

終わりに:LoL Esportsの新時代

Global Power Rankingsは、リーグ・オブ・レジェンドにおけるチームパフォーマンスの評価と理解を新時代へ進めるための、重要な一歩です。コミュニティーの皆さんと一緒にこのシステムを洗練・拡張させていくことで、Riot Esportsを愛してくださるファンの方々に、最も正確で、透明性があり、意味のあるランキングを提供することを目指しています。

Global Power RankingsはWorlds 2024期間中にlolesports.comとRiot Esportsの配信でお伝えしますので、お見逃しなく。2024年の最終アップデートはWorldsの決勝後に公開されます。ここをスタート地点として、2025年にはさらに洗練されたシステムを準備していきます。

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